周囲の人間が「認知症かも?」と思っても、「認めない!」と本人がかたくなに拒否すると家族は大変ですよね?
認知症と診断されても、本人は100%受け入れるわけではありません。
そういう状況のなかで上手に接する術を見つけたので、言動に悩まされている方はぜひとも取り入れてみてください。疑っている段階よりも、本人の症状は緩やかになります。
認知症でも元の性格は変わらない!本心を理解しよう
認知症になると性格に変化が現れたように見えます。とても明るい人だったのに毎日沈んでいる様子だったり、優しい人だったのに暴言を言うようになったりして、違いに驚くことも多いでしょう。
しかし、それは性格の変化ではなく、奥底にあった怒りや悲しみなどの感情が爆発し、コントロールできなくなるのです。感情の爆発が大きければ大きいほど、家族がびっくりしてしまうのも仕方がありません。子どもの性格が変わるのとは全く違います。
義母は面倒見が良くて、優しくておとなしい人でした。認知症と認定された今でも、基本的には変わりません。認知症によって症状が不安定になっているのは分かりますが、元の性格まで変わってしまったとは感じられません。
夫には元の性格と全く違う人物になってしまったように見えるようですが、私には我慢してきた感情が爆発しているように見えるのです。今まで言えなかったこと、言わないようにしてきたことを、理性でコントロールできなくなっているように見えます。元が優しい性格の義母は、暴言も丁寧な言葉です。
認知症になってしまって、性格まで変わってしまったように見えるギャップに、落ち込む家族も多いでしょう。受け入れられずに、つい暴言をはいてしまう方もいると思います。しかし、認知症はれっきとした病気なので、認知症患者の本心を理解してあげることが大切です。
義母は、「私はこの家にいちゃいけないの!?」という自虐的な言葉をよく口にします。そんな時は、なぜか財布を無くしてしまい、金銭の不安を感じている時がとても多いです。財布が見つかると、言った言葉も忘れてしまい、知らん顔をしています。でも、その状態は、ホッとして落ち着いている証拠なのです。
最初は振り回されると思いますが、親身になって対応することで、不安感を拭ってあげられます。本当は何を言いたいのかを察するのは難しいことかもしれませんが、感情的にならないようにしましょう。何度も様子を見ていると、分かってくることもありますよ。
常に不安だらけ!認知症患者の気持ち
認知症患者は、被害妄想が激しくなります。私の義母も調子が悪くなると、全ての人を疑い、悪口を言うぐらいの不安にかられています。
私がご近所さんと家の前で話していると、「自分の話をしているのだ」と勘違いし、慌てて外へ出てきます。ケアマネジャーさんに電話をしていると、話に割り込んできて中断させようとします。
こんなことを繰り返していると、普通に宅配便が届いた時も外をのぞきこみ、友達との電話でも割り込んできます。
全てが自分中心の考えになってしまっているので、身の周りの人が自分の悪口を言うと思ってしまうのです。とにかく不安でたまらないのですね。
私が特に気をつけていることは、義母の言っていることをまともに受け入れないことと否定しないことです。それから、冷静になって義母の本心を見極めるようにしています。こうすることで、振り回されずに済みます。
認知症を認めないのは本人のプライド!
義母は自分が認知症だということを、いまだに認めていません。自分がどうかしてしまったと感じることはあるようですが、「おかしくなったのは自分ではなく、周囲の人だ」と思っています。自分にとって都合の悪いこと、嫌なことは絶対に認めません。
義母が認めたくないことは、自分が認知症だということのほかに、人に危害を加えてしまったことや物を壊してしまったこと、義父が亡くなっていることなどです。大人としてのプライドは残っているので、間違いを認めないどころか、うそをつくのも平気になってしまいます。
正常な方から見ればおかしな言動だと感じるかもしれませんが、家族は全て受け入れなければいけません。だからといって、まともに受け入れる必要はないのです。
じっくりと話を聞き、肯定の言葉を使いながら、本人を興奮させないように心掛けましょう。上の空で話を聞いていると、相手は阻害されているように感じてしまいます。時間を必要としますが、向き合って話すくらいの気持ちを持ちましょう。
「認知症を認めない本人と上手に接するには」のまとめ
認知症患者の介護をしている家族がしなければいけないことは、認知症患者の言っていることを「真に受けないこと、感情的にならないこと、様子を見守ること」です。特に、プライドの高い認知症患者だと、なんでも自分中心の意見にすり替えてしまいます。1対1でまともに意見を聞いていたら、精神的にまいってしまいます。
認知症患者を介護するには、理解や協力をしてくれる人が必要です。近所の人たちやケアマネジャーなど、家庭内の現状を知ってくれる人を増やしましょう。
義母の場合は、頭のどこかで分かっているようで、時々土下座をして泣きながら謝ることもあります。そんな姿を見ていると切なくなりますが、本人は認めたくないことでもあるのですぐに忘れてしまいます。
私は、毎日の出来事を日記に書かいておき、義母のようになかったことにしています。これが後から役に立つこともあるので、走り書きでもいいから書いておくのはおすすめです。